梅雨。紫陽花は暗い湿度の中に華やかさを加えてくれる。
枯れゆく萼のグラデーションは実に不思議だ。
色あせ鮮やかさはないが、独特な色気を感じるのは何故だろうか…
世阿弥が「まことの花」と謳ったのにも納得がいく。
紫と金。この組み合わせは日本色の中でも強烈な美意識を感じる。
多くの人が思いつく紫陽花はこれらの「手まり型」と呼ばれる品種らしいが、これは変異種と言われている。
つまりオリジナルではないようだ。
オリジナルとされている基本種はこの下の「ガク型」
はじめは何の花かも分からずに撮っていたが、あなたが本家か。
周りに見える立派な花の形は虫を誘う飾りで中心部に真花と呼ばれる受粉可能な花があるらしい。
逆に手まり形を覆うものはカモフラージュで、めくった奥底に真花が隠されている。
まさに「秘すれば花」。世阿弥も紫陽花に風情を感じていただろうか。